フォトクロミックレンズとは?

ちょっと買い物に行く時の陽射し。
通勤時のビルに反射する朝日。
ジョギングする時に目に入る夕日。
日常でサングラスが欲しくなる時があります。しかし外に出るたびにメガネを掛けたり外したりするのは面倒臭いものです。それに、普段からサングラスを使用することにはちょっと抵抗がありますよね。
そんなときに便利なのが「フォトクロミックレンズ」です。陽射しの強い屋外では勝手に色付きのメガネになり、屋内では勝手に無色のメガネに変わるレンズです。周囲の明るさに応じて自動で、レンズの色が変わります。
厳密には、レンズ凸面にあたる紫外線量に応じてレンズの色が変わります。レンズにコーティングしたフォトクロミック染料が紫外線を受け分子形状が変化し、透明な分子形状から、可視光を吸収する分子形状に変化する事でレンズの色が変わるという仕組みです。
すごく便利なフォトクロミックレンズですが、注意すべきこともあります。それは温度依存性です。装用環境(気温、天候、紫外線量、太陽光とレンズの角度)の違いによって濃度変化および色調変化が異なりますので(ex.温度が高いと発色は抑制されます。)注意が必要です。
最近では紫外線ではなく可視光線に反応するレンズや、IoTでコマンドにより色の変わるガラスもでてきました。

フォトクロミックレンズの歴史

「分子形状が変化」と聞くと、とてもハイテクそう!と思われるかもしれません。しかし、実はフォトクロミックレンズは新しい技術ではなく、その歴史は意外と古いのです。
初めてフォトクロミックレンズが発売されたのはなんと50年以上前。1964年にアメリカのCorning Glass Works社がフォトクロミックガラスを開発・製品化したのが始まりです。当時Corning社はフォトクロミックレンズや偏光レンズを使ったサングラスブランドを立ち上げ、発売していました。次にフォトクロミックガラスのレンズを発売したのは、ドイツのカールツァイス社。1970年に販売を始めました。1978年にはイギリス・ウェールズのガラスメーカーChance Pilkington社が、フォトクロミックガラスを発売し、Corning社、カールツァイス社との競合争いになります。その5年後、1983年には最初のプラスチックのフォトクロミックレンズが登場しました。ガラスレンズではハロゲン化金属成分を内部に混ぜていたため色むらがありましたが、現在のプラスチックレンズではフォトクロミック染料をコーティングしているため色むらが比較的少ないのが特徴です。しかし最初のプラスチックのフォトクロミックレンズはガラスレンズと同様に、フォトクロミック染料を内部に混ぜていたため色むらもあり、また2年もすると染料が壊れて、本来スカイブルーだった色が黄色くなってしまったようです。その後1991年にTransitions Optical Inc.から発売されたプラスチックのフォトクロミックレンズは、世界を席巻します。レンズメーカーから購入したレンズ半製品を自社の工場でフォトクロミックレンズ化処理し、それをメーカーにフォトクロミックレンズ半製品として再販するTransitions Optical のビジネスモデルは革新的でした。
こうした黎明期を経て、以降何社もの開発・特許競争と企業努力、技術面・学術面での進歩によりフォトクロミックレンズは進化してきました。色むらが少なく耐久性にも優れ、レンズの色の変化も格段に早くなりました。レンズの色もバリエーションに富み、フォトクロミックレンズは機能性と同時にファッション性も備えたアイテムとなりました。

フォトクロミックレンズで、“解放せよ”

フォトクロミックレンズを使ったメガネは、ヨーロッパやアメリカではすでに広く普及しています。もともとサングラス文化があった欧米では、外に出るたびにかけ替える必要のないフォトクロミックレンズが抵抗なく受け入れられたのでしょう。
日本でも最近になってサングラスが広まってきました。陽射しを防ぐための実用アイテムとしてはもちろん、ファッションアイテムとしても人気が出ています。海などのレジャー時や友人と出かける際にサングラスをかける人は、日本でも増えてきました。しかし日常的にサングラスを持ち歩く人はまだ少ないようです。サングラスの有用性を知りつつも、サングラスを持ち歩くのが面倒だったり、サングラスをすると周りから威圧的に見えてしまったり。また、わざわざサングラスをかけることが気恥ずかしい、ということもあるかもしれません。こういったことに縛られて、眩しさを我慢したり、好きなファッションができなかったりするのはもったいないですよね。
フォトクロミックレンズは紫外線があたった時だけレンズが発色するので、わざわざサングラスを持ち歩く面倒もありません。室内では普通のメガネなので、違和感なく日常のメガネとして使えます。屋内でも、屋外でも快適に、そして自由に過ごすためのレンズがフォトクロミックレンズです。常識や不自由から、自身を解放せよ。フォトクロミックレンズは、これからの新しいスタンダードです。

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オーディオグラスは、アイシティ5店舗にて販売しています。